河童伝・第一話「河童三郎譚」/板谷みきょう
 
、堤が崩れ、田は流され、若い衆が一人、戻らぬままになったのです。葬いの夜、囲炉裏端で誰かが言いました。

「……川が怒ってる。」

それは誰の声だったか、今ではわかりません。ただ、その言葉だけが、妙に村に残りました。

翌朝、川岸に、見慣れぬものが落ちておりました。

割れた皿です。皿の形をしているが、土でも木でもない。ぬめりを帯び、ひびの奥に、薄く水が揺れている。不思議な皿でした。

村の子どもが拾い上げ、ふざけて水を注ぐと、皿はふるりと震え、川のほうへ転がっていったと申します。

その夜、川から声がしました。

人の声のようで、人でない。笑っているようで、泣いている
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