私たちは、いったい誰のために貧しいのか? /atsuchan69
に量産される。マスコミが用意した枠組みは、SNS上で自律的に再生産されていく。
結果として、人々はフローの停滞だけを日々確認し続ける一方、ストックの存在や配分の問題に到達する前に、怒りや不安の消耗へと導かれる。視線は外に向かい、内部の構造は見えないまま残る。
この傾向は、文芸の世界にも及んでいる。詩誌や詩人たちは、社会から距離を取り、内面や言語の純度を守ることを選んできた。しかしその結果、現実の構造から切り離された小さな共同体の内部に閉じこもる「籠モル化」が進んだ。社会の不均衡を正面から語る言葉は弱まり、詩は安全な沈黙へと傾いていった。
詩が無力なのではない。語るべき現実から距離
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