償いの刑事コロンボ/菊西 夕座
 
される

私はペンを口にくわえ、言葉をのみこむかわりに、もうもうと煙をはいてコロンボをたきつけた

すると警部は葉巻をくゆらせて、巧みに言葉を吐き出すと、一片の詩が編まれてゆくのがみえた

その詩編はたしかに私が見殺しにした言葉たちであり、私の目に沁み込んではからずも咽ばせた

そこでコロンボ警部が机を戻すように指示すると、引き出しの紙片が詩編に変わり果てていた

私の口からペンをひったくった警部は、詩編のインクとペンのインクが一致することを皆に示した

それからこの詩編は私が書いたものに違いないが私には詩才がないから仔細はわからないといった

ただ仔細がわかるのはペン
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