償いの刑事コロンボ/菊西 夕座
 
ペンの持ち主であるアンタしかいないといって私にペンを返して去っていった

去り際にポーチを降りると薔薇の植込みから月明かりが葉間隙(はまき)をついてポケットに差し込まれた

ただ返されたのが葉巻であるところを見ると、私はほっとして、火をつけないまま机にしまおうとした

するとやっぱりアンタは言葉に火(ヒ)を付けないで見殺しにするわけかといって警部が暗がりから現れた

つかつかと舞い戻って机の引き出しから巻いた葉をひろげていくと最後の一句はすでに言きれていた

戻る   Point(4)