竹と朝顔(修正版)/板谷みきょう
ってしまっていますけれど、
むかしはそれはそれは、みずみずしい青竹だったんですよ。
生まれたところはね、ここよりずっと南の、
陽ざしが踊るような、とても素敵な山なんです。
あぁ……みんな、どうしているでしょう。
一度でいいから帰りたいなぁ。」
朝顔は、葉の影からそっと顔を出して、
竹の声を静かに聞きはじめました。
竹は、おじいさんやおばあさんから聞いた昔ばなしを、とくとくと語りました。
「おばあちゃんの生まれるもっと前のことにはね、
月のお姫さまが光る節から生まれたんですって。
信じられませんよねぇ。
それに、おじいちゃんがまだ子どもだったころには、
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