街燈(修正版)/板谷みきょう
 

そのとき、一片の雪がそっと街燈に舞い降りました。

雪は、光の揺らぎの奥に、涙が小さな虹となって光っているのを見つけました。

――街燈は泣いていたのです。

気づかれぬよう、声も音も立てずに、ただ、役目を手放したくないという最後の願いを込めて、いっそうまぶしく道を照らしていたのでした。

雪が声をかけようとした瞬間です。

パチッ、と小さな音がして、街燈の光がふっと消えてしまいました。

夜は一層静まり、すべての音が遠のき、時代が切り替わったかのように感じられました。雪道を照らすのは、月の冷たく、けれど雄大な光だけになりました。

雪は胸をしめつけられ、せめて消え
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