街燈(修正版)/板谷みきょう
 
消えた街燈のかわりになろうとして、白い身をきらきらと輝かせました。それは、失われた温もりへの、静かな弔いの光でした。

春がめぐり、雪が消えたある日、長いあいだ沈黙していた街燈には、再び灯りがともりました。

しかしその光は、どこか柔らかく、過ぎていった冬の痛みと、雪のやさしい祈りをそっと抱えたようでした。

古い役目が終わり、新しい時代が来ても、消えた一瞬の光の記憶は、人々の胸のどこかで、人生の道筋を照らす、やさしい灯りとして静かに息づいているのでした。

※原作「街燈」を修正しました
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