街燈(修正版)/板谷みきょう
が暗くては、夢まで暗くなってしまいます。」
その声には、「誰かのために光ること」こそが自分のすべてだという、かすかな誇りと、自らの務めを信じてきた素朴な真心が宿っていました。
けれど月は、静かな事実を告げます。
「しかし、人々はもう、新しい大きな道を通るのだよ。家々の灯りはまぶしく、この古い道の灯は、もはや誰にも頼まれておらぬ、ただの飾りだ。」
街燈は何も言わず、ただ光を強くしました。それは、役目を失った自己の存在を、光の力でねじ伏せようとする、そんな幼い意地のようでもありました。誰にも求められない献身は、やがて空虚な熱となって、足元を昼のように明るく照らしました。
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