正風亭第二幕/武下愛
放った花弁は薄桃色。私のおもい。おもいよ。初春にしかいらっしゃらない御客様へ思い馳せます。あの方は、梅の花を私のようだとニコニコしながら話しましたね。桜も好きですが梅の花も好きなのでとても嬉しかった事を思い出します。わたしは貴方様がいまだに好きでございます。生き辛い私を、おもい、支えさせて戴きたい力が強まる事は、他の方によりましては悪い事なのでございましょう。
寒さが少し薄れる春へと思い馳せます。萌ゆる薄桃色の花を咲かせる桜は、時期によっては雨に降られ、散ってしまいます。春の一瞬、何時も思い出させてくれる様に花を咲かせます。青春を謳歌しました。眺めては好きだった気持ちが沸騰します。透明にゆら
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)