正風亭第二幕/武下愛
 
本分が入る柄のない白磁にしましょう。炊き込みご飯も作ってしまいましょ。お米を五号。ドンドンと乱雑に切った形の違う筍、さっとシャキシャキみじん切りした人参。鯛を入れて。塩昆布を入れて混ぜて炊きましょう。味の幅を広げましょうかね。今日はお塩にしましょう。桜色の梅塩、白いお塩、黒っぽい藻塩を、三種盛れる区分けされた碧色の柄のない皿にしましょう。あら。真っ黒だった炭が段々赤くなってパチパチないていらっしゃいます。近くに居るだけで汗が出て、夏の様です。所々灰に成るのは、まだまだ先ですね。これから始まる時間を想像させて戴けます。今日もあの御方達はいらっしゃるかしら?

十数年の歳月を経ても紺色の生地に白く
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