青い蛇と赤い葉/板谷みきょう
て重い孤独が、青蛇の中で揺れ続けました。
その満たされない痛みが、青蛇を龍という存在へと駆り立てました。
龍とは、森のすべての「あたりまえ」を超えた、孤独で完全なかたちを持つもの。
青蛇は龍になることで、この空洞を埋め、「さみしくない自分」という輪郭を得たいと、激しく願ったのです。
秋の午後、紅葉の木の下に獣たちが集まっていると、空の雲がふいに裂けました。
青い空の向こうに、まばゆい白さでせせらぎの峰が姿を現しました。
胸に押し込んでいた焦りが、炎のように燃え上がります。
青蛇は叫びました。
「私は峰へ行く! この胸の空洞を埋める答えを、必ずあそこで見つける!」
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