青い蛇と赤い葉/板谷みきょう
 

長老のみみずくは、静かに目を伏せました。
「いにしえより、神々の残した石の文には、こう記されておった。
『見よ、せせらぎの峰に立ち、すべてを知る者たちを。
翼ある者は、今こそ鳳凰(ほうおう)と化し、
足持つものは、光まとう麒麟(きりん)となり、
その道の途(みち)を選びし、その他すべての生きとし生けるものは、
大いなる龍(りゅう)となりて、かの頂(いただき)に臨むべし』
しかし、龍となるには、ぬらくら川を下り、『荒れ狂いの大海』で、七つの、人の世の冬を越えねばならぬと聞く……」

青蛇は振り返ることもせず、ぬらくら川へ身を投げました。

ぬらくら川はすぐに牙を剥きました。
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