三木卓『わが青春の詩人たち』書評/佐々宝砂
四十年以上も前のことを語っている本だから、故人の名が多く出てくる。生きてこの本を書いた三木卓が、まるで「生き残り」のような気さえしてくる。生き残りが語る青春の記録。アパートの煎餅布団と、安ウイスキーと、アルバイトと、共産党と、貸机ひとつの小さな会社と、失職と、それからもちろん詩と、議論と……。三木卓が「わが青春の」と語るその時代は同時に戦後現代詩の青春でもあったのだ、と誰にでも言えそうなことを訳知り顔に言ってこの書評を終わりにしてもいいのだけれど、なんとなくそうしてしまいたくない。
それじゃここにいる私はなんなのよ? 三木卓の子どもの世代にあたる私が、ネットという新しい土俵で書いてる詩
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