三木卓『わが青春の詩人たち』書評/佐々宝砂
 
4歳(この書評は昨年執筆したものです、いま私は35になっちまいましたわい)、その年までに新川和江はすでに三冊の詩集を出し、小学館文学賞を受賞し、雑誌投稿詩欄の選者になり、テレビやラジオの仕事までこなしている。かたやこの佐々宝砂がどうであるかということについては、かなしいので触れない。詩人の卵だとしても、卵のまま発酵して腐りかけているようなもの。せめて、ピータンみたいにクセのある臭くて旨い古卵になりたいものだが、しかし、まあ、私のことなどとりあえずはどうでもよい。

 三木卓のやや甘やかな匂いのする(しかしそこには酒の臭いも貧乏の臭いも当然入り交じっている)追想を読みながら、私は、大好きな著者
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