全行引用による自伝詩。 09/田中宏輔2
になった。これはいつも絶頂体験のことを考え、心をその方向に向けていたからにほかならない。
(コリン・ウィルソン『ルドルフ・シュタイナー』1、中村保男・中村正明訳)
ひとつの〈呪文〉を唱えると、すぼめた両手のあいだに、小さな地獄のかけらが出現した。亜物質世界の〈無形相〉の力をひきだすためのドアだ。いそいで、最初に心に浮かんだ〈形相〉を召喚する。結合した火と気──稲妻だ。それから〈呪文〉を唱える。目標物に──声?に脅威をさけびちらしている金属と火薬の混合物にむけて、まっすぐ稲妻を投げつけるための呪文だ。稲妻に形を与えたり、変換している余裕はない。両手をひらくと、稲妻がうなりをあげ、空気を切り
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