全行引用による自伝詩。 09/田中宏輔2
切り裂いて上昇する。手のひらから大人の身長分ほどもあがったところで、稲妻は三本にわかれ、いっせいに落下した。一本は、瓦礫のうしろにいた少年に襲いかかった。あとの二本は、サイレンスが見ても気づいていてもいなかった銃を、直撃している。
(メリッサ・スコット『地球航路』7、梶元靖子訳)
女の声が、背後から飛んだ。サイレンスはふりかえった。地獄のかけらをかかえているため、あまりはやく動けない。〈無形相〉の力がいそいでつくられたバリアにあたり、地獄がシューシューと音をたてる。あらゆる色彩を秘めながらいかなる色でもない、目を焼くような円盤から、火花があがり、またおちてくる。
(メリッサ・スコット『
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