全行引用による自伝詩。 09/田中宏輔2
成の近寄りがたい妖艶(ようえん)な神秘を見ているのであった。
(D・H・ロレンス『翼ある蛇』下巻・20、宮西豊逸訳)
万象がほの暗い薄明につつまれていた。
(D・H・ロレンス『翼ある蛇』下巻・20、宮西豊逸訳)
「──ふふん、これだな、必要がオノレ・シュブラックを、またたくひまに脱衣せしめた場合っていうのは。どうやらこれで彼の秘密がわかって来たような気がする」と、わたしは考えたものだった。
(ギヨーム・アポリネール『オノレ・シュブラックの消滅』青柳瑞穂訳)
ニックはこの一瞬のうちに、永遠の美の煌(きらめ)めきを見た──無邪気に大笑いしているフェイはなんと愛らしいのだろう。
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