全行引用による自伝詩。 09/田中宏輔2
 
ことはない、ということだ。
(ジャック・ウォマック『テラプレーン』2、黒丸 尚訳)

 ある人間が別のある人間にはじめて会うときには、直感的に感情移入と識別を行って、たがいに相手を吟味する段階がある。ところがドゥーリーには意志を疎通させることがどうにも不可能だった。ドゥーリーはまさに敵対的な侵入勢力そのもののような男だった。彼がまっすぐこちらの精神のなかにはいってきて、何か利用できるものはないかときょろきょろしているのが感じられた。
(ウィリアム・バロウズ『ジャンキー』第六章、鮎川信夫訳)

すべきでないことが、あきらかに二つある。未来をのぞいてはいけないし、他人の心をのぞいてはいけな
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