たもつ『父の献立』鑑賞 /室町 礼
、幼さゆえに最初からそれは父によっ
て許されていた。(許しの連鎖)
しかし〈母の不在〉という決定的なミスはだれ
にも許されず永久に循環している。母親の不在
は、この詩の空白の中心であり、すべての「許
し」がその周りを巡る。でも、
本当の許しは、母がいないことの痛みを誰かが
背負うことであり、それは誰にもできない。だ
から「許し」は、溺れながら空を見上げる父子
の、永遠の「献立」になる。
ここで孤児のわたしは「家族」というものの凄
惨さにほぼ悲鳴をあげそうになるのです。
(「孤児でよかった!」)
というのもここでわたしは〈家族〉は「許し」
を生み出す構造そのものだと気
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