たもつ『父の献立』鑑賞 /室町 礼
親は
米を研いでなかったのだ。(父親のミス。つま
り"準急"は目的地に着かなかった)
息子は父の"失敗"を腹立たしく思って舌打ちし
たことを大人になってから、むしろ懐かしく思
い出す。
それは"環状線"の"踏切"の前に立ったとき。電
車が通過する風が食卓の匂いを運んできたから
かもしれない。
今になって息子は父のミスを許そうとするが、
その父はもういない。(自分よりも大人になっ
てしまった)
今では父のミスが自分にもよくわかるのだ。そ
してそのミスを責めた自分を許してほしいと思
うのだが、幼
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