しょうめいたん/あらい
打ち捨てた漁村の小屋
轡が食い込み、吐き気がして、せせこましい波にゆだねて
かちり、誰かが息を呑み かすかな尾をおっていくこと
ゆるり、唇が動いて 動きにぶい眠気を、瀑布のよう浴び
蝋燭の腰をおり曲げたアパートの敷居はしづみ
壁にもたれた浅瀬を、昏々と滾々と、まどかに預けて
またどこかで上演するサーカスは攫われた喝采
土の床は湿り気を帯び、藁も汚れきっていて
畳の上に域を、針ほどの理由にまた、片付けても
流れを堰きとめて 擦れた背景板
その隣に、人が腰をおろす
背を丸めたまま、肩が広がっては途絶える
身じろぎすら リズムとなり
倒れかけた表紙に禽獣と近づくと
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