全行引用による自伝詩。 06/田中宏輔2
 
ステンレス・スチールラット』17、那岐 大訳)

「女に残酷なことはしたくない」そういって不誠意極まる笑みをもらした。人間の顔に浮かぶものとして初めて見たような種類のものだった。
(ハリイ・ハリスン『ステンレス・スチールラット』18、那岐 大訳)

「きみはばかな男ではない、グラブ・ディープシュタール」このことは伯爵はおれのことを自分よりはるかにばかだと考えていることを意味していた。
(ハリイ・ハリスン『ステンレス・スチールラット』18、那岐 大訳)

 選択忘却というあるささやかな方法がある。それによってわれわれは自分がいやだと思う記憶を抑えつけたりゆがめたりする。
(ハリイ・
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