全行引用による自伝詩。 06/田中宏輔2
 
った。
(ノーマン・メイラー『鹿の園』第六部・27、山西英一訳)

 ついにぼくは多少ともわかるようになった。書いていくにつれて、ぼくは自分がいっそう力ができたこと、自分は生きぬいたこと、ついに自分は自分の性質のなかで自分よりすぐれたものをなにかしら永久的な形でとどめておくことができるのだということ、したがって自分は芸術が見いだされるあの孤児たちの特権ある世界の一員になりはじめているのだということを知った。
(ノーマン・メイラー『鹿の園』第六部・27、山西英一訳)

アイテルは悲しかった。だが、それは楽しい悲しさだった。
(ノーマン・メイラー『鹿の園』第六部・28、山西英一訳)

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