全行引用による自伝詩。 06/田中宏輔2
 
ウィリアム・バロウズ『夢の書 わが教育』山形浩生訳)
 足に熱を感じて見下ろすと、火のついたタバコが靴の下のつま先付近に押しこまれている。だれかがわたしに熱い足をくれたってわけだ。タバコを取り出して、割ってみると、貝殻みたいで中には触手が入っている。でも生きてもいないし動いたりもしない。
(ウィリアム・バロウズ『夢の書 わが教育』山形浩生訳)
 ハム音がしていて、部屋は耳障りな悪意を伝えてくる。なにかがバネ仕掛けで壁から飛び出してくるとか、部屋がいきなり縮んで鳥小屋になってしまうとか。
(ウィリアム・バロウズ『夢の書 わが教育』山形浩生訳)
 その時だしぬけにフリエータが明る
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