【わが短歌・俳句入門】<俵万智>/藤原 実
「俵万智は通俗」といわれます。そして実際に通俗なのだ、とぼくも思います。しかし「通俗」は悪でしょうか?本来なら数十、数百という単位で自費出版されるはずだった詩(歌)集がその数万倍の人たちの手に渡ったという事実は重いです。いったいなにがそんなに多くの人たちを魅了したのか。もっと真摯に考えるべきではないか。「あれは大衆に媚びたから」の一言ではあまりに粗雑ではないでしょうか。
ぼくは『サラダ記念日』をつい一ヶ月ほど前にはじめて読みました。そしてもっとはやく読んでおけばよかった、と悔やみました。あの本がベストセラーになった当時は、短歌俳句は詩にあらず、という考えの超偏見野郎でしたから「短歌がベスト
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