【わが短歌・俳句入門】<俵万智>/藤原 実
 
える、という表現からは他にもさまざまな思いを読みとることができるだろう。出来不出来はともかく、句として一応は完結している。だから短歌の方の下七七はいわずもがなのことであり、はっきりいって蛇足だと思う。「穴冴える」という「発見」をわざわざ説明することで台無しにしてしまった。このへんが「俵万智は通俗」と言われてしまう所以でしょうか。

まあ僕個人としては通俗が必ずしも悪とは限らないと思っているし、俵さんの歌というのは(へんな言い方だが)「趣味のいい通俗さ」があって結構好きなのですが。

歌人の前登志夫さんは新聞のコラム(読売・1998/4/8夕刊「潮音、風声」)で『サラダ記念日』などは「青春漫
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