【わが短歌・俳句入門】<歳時記を読みながら>/藤原 実
 
なかに次のような一節がある。

{引用=『こうしてキャロルにとっても、物語を書くことは、ポーやわが露伴が円錐曲線の理論や釣糸の構造にたいするダイダロス的洞察を通じて錯綜たる迷宮を脱出しようとしたように、名づけられないものの呪縛を知的測量術によって解決する作業にひとしいものとなる。キャロルはそのためにチェスの駒やトランプのカードのような遊戯の規則のなかで一定した役割を担わされている記号的存在や分類学的に種の定義の明快なもの(花、動物、鉱物)を好んで寓意的フィギュアに選び、それを定義も命名も不可能な混沌に対比させて魔を封じようとする。しかし混沌を手なづけようとしてつぎつぎに繰り出される秩序整然たる
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