【わが短歌・俳句入門】<歳時記を読みながら>/藤原 実
 
たるこれらの軍勢は、毎度のように敵に逆手をとられて、本来の役割からは想像もできない意表を衝く働きをしながら此方側に送り返されてくる。』


       (「キャロル再訪 遊戯の規則」より)



この『…遊戯の規則のなかで一定した役割を担わされている記号的存在や分類学的に種の定義の明快なもの(花、動物、鉱物)を好んで寓意的フィギュアに選び、それを定義も命名も不可能な混沌に対比させて魔を封じようとする』という一節が僕の無意識に刻み込まれていて、どういう思考回路を辿ってか、あるとき俳句と結びついたのではないか?
だから季語や五七五という「枷(かせ)」があってこそ、俳句の世界は僕にとってワンダーランドなのだった。無季俳句や自由律俳句では困るのだ。山頭火や尾崎放哉ではダメなのである。


     (初出:1998.4 @ニフティ<現代詩フォーラム>)

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