ケイヴ/おまる
 
をし、偶然を装いながら、マキちゃんに近づいた。
確かにプレイボーイ君は知的で優しかった。その振る舞いにも下品なところが一切なかった。マキちゃんはプレイボーイ君の金ぴかの上辺に目が眩んでしまった。それで、半年ほど前から同棲していた。しかし、しばらくの蜜月の後、マキちゃんはプレイボーイ君を大して好きではなくなってしまった。
金ぴかの鍍金が剥がれて、男の病的な自己中心性、自意識過剰さが露わになっていた。急にマキちゃんに、恰も妻のように振る舞うことを求めてきたのだった。その度にマキちゃんは猛烈に怒り狂って抵抗した。

「好きな人ができた」とマキちゃんは男に告げた。こういう場合は、実に手慣れた
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