ケイヴ/おまる
着くとそのまま二人は別れた。電車の中でマキちゃんはぼんやりと考え事をしていた。
職場は机と棚しかないのに、やけに散らかっている所で、しょっちゅう人が辞めたり入ったりを繰り返し、いつも人手不足だった。上司は、痩せた色の白い男で、身なりは一生懸命に着飾っていて、ファッション雑誌の切り抜きみたいだった。裏表が激しくて、よく人を失望させていた。怒りやすく、それを抑えられないので、度々些細なことで諍いを起こしているのだが、本人も自分のことがよく分かっていたので、上には必死におもねることで、トラブルは内済みにされていた。
瞳くんは毎日、この男の機嫌をとらなければならなかった。が、男は
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