ケイヴ/おまる
 
並木に風が通って、「寒い、」と、マキちゃんはか細い声でいった。瞳くんはよい気持ちで、暖かさを感じながら、あたりの景色を眺めていた。間もなく日が出てきた。瞳くんは、日に照らされて、眩しそうにした、マキちゃんの真っ白な横顔をちらりと見た。



美しかった。やはり美しい、しかしマキちゃんが全く違う世界の人間のようにも感じる。どうしてそう感じるのかは、よく分からなかった。マキちゃんも、瞳くんを見つめかえした。
「何を考えているの?はっきりして」
「付き合ってください」
「でも今、付き合っている人がいるの」
「じゃあ、その人とは、別れてください」



駅に着く
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