ケイヴ/おまる
ればよかった」といった。「つまらん」といった。
その後も男はいろいろと気安く話しかけてきたが、冷淡になったマキちゃんはそっけなく相槌を打つのみだった。もうこの男は用済みだった。それで、ホテルを出ると、あっけなく別れた。さよなら。
さっきまで見ていた景色は種も仕掛けもなく消えてしまい、いつもと変わらない、日常の中にいると思うと、ただそれだけで、退屈で酔いも醒めてしまった。マキちゃんは家に着くと、とりあえず、リビングで寛いで、テレヴィのスイッチをつけた。遠いところで、大勢の死人が瓦礫の山の下に臥していた。家が、全て海に流された。 原子力発電所が、放射能をまき散らかして、狂気の沙汰となって
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