ケイヴ/おまる
 
な時間が嘘のように、日常に引き戻された。マキちゃんはついさっきまで唯一の灯だったロウソクの火をぼんやり眺めた。「ああ、あなたは、よく見ると、大変お美しいですね」と男はいった。 すかさず、店長は「あら、そうですか?私はさっきから、そう思っておりました」と言った

「気持ちいい?」とマキちゃんがいった。
「いいよ」と、その顔を見上げて、男はいった。
そんなに気持ちいいとは思えなかった。 このおっさん、勃起はしているが、酔ってふらついている体と同様、感覚が曖昧になっている。男は、はじめにあった感情が、徐々に希薄になっていくのを感じていた。マキちゃんの、張り詰めた、白く輝かいている肌を眺め
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