ケイヴ/おまる
 
マキちゃんは家に向かって、中心街を下って行った。どこの店も開いていないように思われた。ただ、時折人影が、のそっとすれ違う、、気味が悪い。数人が、道路に屯していて、誰もが黙っている。マキちゃんは不快になって、早く帰りたいと思った。
が、不思議なものを見たので足をとめた。




一軒だけ、明かりが灯っている店がある。吸い込まれるように、そこに入った。中では、ロウソクの灯だけのぼんやりとした明かりに照らされた、客の影が動いていた。値が張る店だったが、結構な人数が入っていた。皆、静かに微笑んで、喋っていた。ここだけは外と違っていると思ったマキちゃんは、少し貴族的な気分を味わうことが出
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