ケイヴ/おまる
じられた。往来では、無数の人影が、それでも当たり前のように歩いていて、何だか滑稽だった。
「わぁー!」とマキちゃんは声を漏らした。星空が宝石のようだった。月が冷たい結晶のような光を放っていた。駅のコンビニで買った、冷たい水を飲んだ。それでも、さっきの嫌な気分が慰められたわけではなかった。闇の中をずんずん歩いて行った。大勢の人影が、車道の真ん中を闊歩していた。マンションの窓から、疎らに漏れている懐中電灯の明かりが、その姿をいっそう惨めにしていた。ひたすら静かだ。誰もが、朝になるのを、じっと待っているかの如きだ。区域全体がこうなのだった。不潔で生ぬるい空気だけが、いつもと変わらなかった。マキ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)