変わり続ける世界の中にも変わらないものがただひとつある/ホロウ・シカエルボク
 
もない限りそれを落とすのは無理だって誰もが理解している、なのに誰もデッキブラシを握ろうとはしないのさ、恩恵とは無償であやかれるものだと勘違いしているんだ、金槌で釘を打つのが下手な大工がタッカーの重要性を力説している、文明の正体なんてそんなもんだ、ジッポーにオイルを注がなくても火をつけることは出来るのに、街灯の電球が別れを告げるように弱々しい瞬きを残して消える、それはその日一番悲しい光景だった、これから本当に暗くなるというのに、ゴミ捨場に置き去られた折り畳み式のシングルベッドにはうんざりするくらいカビが生えていた、捨てられてから生えたものだったらいいけどな、住処に戻ろうと思うけれどまだなにかが足りな
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