接吻/ただのみきや
導くだろう
人間に従属的だった記号たちの企みは成りつつある
ことばを奴隷としながらことばに侵された
冬虫夏草のごとき詩人の群れを見よ誰が火だるまになって
火だるまの猿になって国民のために国民を滅ぼすのか
立ち上がれ頑丈な肉体に群青の影をなびかせたああマスラオよ
娘屋食堂でそっと釣銭を握らせる淫らなマドロスに鉄槌を
キッチンで甲冑付けた裸の鼻歌に不眠症の鷺をささげよ
ああ不埒なフランス料理 冷蔵庫の腐乱死体との逢瀬
ソーダソーダ!村長! シロップだらけのリップサービスにいくら払う
かまびすしい政治の宴の末席にもつけずにサイコロ順に
古めかしい煮汁をかき回すきみたちの前にはいつだ
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