一本道/秋葉竹
全身が、逢いたがっている
だれか好きなひとがいると
子どものころから、こうだ
いつまでつづくのかと呆れられてる
夏も終わりの色に変わり
秋の音色を奏ではじめている
トンボたちが空中に止まり
どんな法則があるのか
まるでわからない飛びかたをしている
それを
子どものころから探している
山道を駆け抜けてたあのころも
夢中になってトンボを追いかけ日も暮れ
ふとみあげると
潤んだ満月からなにか聴こえた気がした
そのときもそうだった
全身が、あのひとに、逢いたがっていた
夜道は灯りもなく満月の光だけが
あしもとを照らしてくれたのだろうが
よく
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