全行引用による自伝詩 01/田中宏輔2
高い、かぼそい声が聞こえにくい状態だ。?彼?が最後に小鳥のさえずりを聞いたのは千年前のことだし、雀はもうずいぶん長いこと、顧みられることもなく、地に落ちつづけている。
(ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア『肉』小野田和子訳)
クリスピンはじっと僕を見ていた。僕にはわかった。クリスピンも僕と同じで、魅せられていると同時に、脅えているのだ。
(エルナン・ララ・サベーラ『イグアナ狩り』柴田元幸訳)
だれでも最良のものを得られることはめったにないし、得ても長続きしないわ。次善のもので手を打ったら?
(フィリップ・ホセ・ファーマー『気まぐれな仮面』28、宇佐川晶子訳)
一枚の仮面の
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