全行引用による自伝詩 01/田中宏輔2
 
(R・C・ウィルスン『クロノリス─時の碑─』第一部・2、茂木 健訳)

もはや、樹から花が落ちることもない、
(ナボコフ『言葉』秋草俊一郎訳)

人間であること、それが問題なのだ。
(フランク・ハーバート『デューン 砂丘の大聖堂』第1巻、矢野 徹訳)

 ジムはいまだにそんな金持ちの空気をまとっていた。彼のオーラと霊能力は大部分、そうした集合的記憶から生まれていた。実のところ、人の影響力というのはまといついている些細なものから生まれるのではなかろうか?
(R・A・ラファティ『第四の館』第一章、柳下毅一郎訳)

 本物の悲鳴はいつも偽物のように聞こえる。ちょうど、本物の恐怖が、
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