全行引用による自伝詩 01/田中宏輔2
 
が、同情心のない者には、つねに滑稽で軽蔑すべき対象のように見えるのと同じだ。
(R・A・ラファティ『第四の館』第十三章、柳下毅一郎訳)

 ある夜、ストーリーテリングのコツを私に伝授しようと、あなたは言いました。「大部分を省略して語れば、どんな人生だってドラマチックに聞こえるものさ」
(アン・ビーティ『雪』柴田元幸訳)

 ヒラルムは無言だった。生まれてはじめて、夜の正体を知ったのだ。夜とは、大地そのものが空に投げかける影であることを。
(テッド・チャン『バビロンの塔』浅倉久志訳)

詩人オーデンの忠言──「芸術家は敵に包囲されて暮らしているようなものだ」
(ジョン・ランチェス
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