全行引用による自伝詩 01/田中宏輔2
 
ン・ビーティ『貯水池に風が吹く日』7、亀井よし子訳)

 ペドロは、彼女は頭がおかしいと言う気になれなかった。事実おかしかったからだ。それに、タンクには小壜一本分のガソリンすら残っていないにちがいない、と言ってやる気もしなかった。馬の耳に念仏だったからである。
(ブライス=エチェニケ『幾たびもペドロ』2、野谷文昭訳)

人間は自分の何気ないひと言がどのような結果をもたらすのか、まえもって知ることはできないのだ。
(E・E・ケレット『新フランケンシュタイン』田中 誠訳)

「いったいなぜぼくらは年を取るんだろう? 時々……自然じゃないように思えることがあるんだ」
 見なくても彼女が
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