全行引用による自伝詩 01/田中宏輔2
 
ここで、時はもちろん春、アマガエルが、ライラックが、空気が、汗が乾いていく感触が、愛を語っていた。
(シオドア・スタージョン『ヴィーナス・プラスX』大久保 譲訳)

頭の中だけのことだ。
(A&B・ストルガツキー『収容所惑星』第二部・8、深見 弾訳)

「おまえさん、幽霊を信じる者は馬鹿だと思っとるだろ?」ずっと昔、ある老人に訊かれたことがある。「いやはや、幽霊のほうが何を信じてるか知ったら、さぞかし驚くだろうて!」
(R・A・ラファティ『第四の館』第十章、柳下毅一郎訳)

醜い者は、醜い者をひきつける。
(グレゴリイ・ベンフォード『大いなる天上の河』下・エピローグ・1、山高
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