全行引用による自伝詩 01/田中宏輔2
 
する、と聞いたことがある。謎めいた共感がそこに加わり、ひとりの心ではつかみきれない微妙なものが明らかになるからだ。
(ジャック・ヴァンス『音』?、浅倉久志訳)

とにかくわれわれ人間は数が多すぎるうえに、だいたいの人間が自分が幸せになる方法も、他人を幸せにする方法も知らない。
(P・D・ジェイムズ『不自然な死体』第一部・12、青木久恵訳)

 ビリー・ブッシュはスモーキィを見詰めた。まるで、紙の上に書かれた単語と日頃喋っている単語とが同じものであることを、初めて理解したかのようだった。
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』?・[2]・?、鈴木克昌訳)

「自分が年老いたように思
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