全行引用による自伝詩 01/田中宏輔2
 
に思えるというのは、多分、世界が古いってこと──それもとっても古いってことが判るようになったことなのさ。自分が若い頃は、世界も若く見えるもんだよ。ただそれだけのことさ」
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』?・[2]・?、鈴木克昌訳)

「ぼくはあの薔薇を憶えている。そしてあの薔薇も、ぼくを憶えているんだ」
(R・C・ウィルスン『無限記憶』第二部・12、茂木 健訳)

私は昨日の私と同じ人間だ。だが、昨日の私は誰だったのだろう。
(P・D・ジェイムズ『罪なき血』第一部・5、青木久恵訳)

 二人のことは鮮明に思い出すことができた──二人の女性は、チャーリーの人生の中で、お互いに
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