全行引用による自伝詩 01/田中宏輔2
、人間であることへの怒りは、予期されるものを大胆に改変してしまうというかたちで、もっともみごとに顕在化されるのだ。なぜなら人々の自己などというものはほとんどうわべだけのものにすぎないからだ。
(マーク・ストランド『犬の生活』村上春樹訳)
なにごとも、そうなるべき必然性はない。
(ジョン・クロウリー『時の偉業』4、浅倉久志訳)
「未来から目を背ける訳にはいかないんだ」
「そうよ、そうだわ。それは真実よ」彼女は窓から気怠い午後の景色を噛みしめていたが、彼の言った意味でではなかった。
(ジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』?・[2]・?、鈴木克昌訳)
「この犬は夢ばかり見ている
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