詩壇における「籠モル化」とは何か ― 閉鎖性がもたらす評価の固定化と新規性の排除 ―/atsuchan69
 
ちだ。つまり、作品の価値は「外の世界」ではなく「籠の内部」での承認に左右される。互いに褒め合い、評価し合うことが目的化してしまい、作品が持つ本来的な力を吟味する批評性は失われてしまうのだ。この構造が長期にわたって続けば、詩壇は自律的な批評能力を喪失し、単なる互助会的な共同体に堕してしまう危険がある。

4. 詩壇における「籠モル化」の背景

では、なぜこのような「籠モル化」が生じるのだろうか。その背景には、詩というジャンルがもともと狭い市場と読者層に依存していることがある。発表の場は限られ、商業的な成功もほとんど見込めない。そのため、詩人たちは自然と「内輪」に支え合いを求める傾向が強まる。
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