図書館の掟。/田中宏輔
ちの魂を引き剥がす太陽光線をさけるために
その用心のために図書館は夜にしか開いていないのだ。
ぼくたちは周りの人間たちや死者たちには
わからないように目で合図して図書館から出て行こうとした。
するとこの部屋を監視している図書館員にでも気づかれたのだろうか?
ぼくたちの後ろから
ハンドガンを携帯した二人の図書館警備員が追いかけてきた。
ぼくたちはいくつもの書架と書架の間を抜けて走った。
迷路のような部屋のなかを彼らの追跡を振り切るために。
*
だれも借りていないはずなのに
いるはずの場所にはだれもいなかった。
しかし垂れ下がった鎖が
そこに彼女がい
[次のページ]
戻る 編 削 Point(10)