図書館の掟。/田中宏輔
 

  現代人は
  現代人であるがゆえに
  個人としてのアイデンティティーが希薄だ。
  パソコンメール
  携帯電話
  携帯メール
  人格の浸透が常に行なわれているのだ。
  子どもたちの人格の浸透度を考えると
  現代こそ
  一九八四年の世界であるということがわかる
  と考えたこともあるが
  いったい人間が
  まったき個であったことなどあったのだろうか?
  どの時代に?
  なかっただろう。
  つねに
  わたしとは、わたしたちなのだ。
  わたしとは、わたしたちなのだった。


図書館長は、詩人のメモ
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