図書館の掟。/田中宏輔
発展したもので
その死者がわれわれを教え導いてきたのですからね。
死者たちが語る言葉に混乱や間違いがあれば
わたしたちの都市も
わたしたち自体も生き残ることができませんからね。」
「それでどれくらいの死者たちがウィルスに感染していましたか?」
「十名です。」
図書館警察の刑事がその死者たちの写真を
テーブルの上に並べていった。
「そうですか。
それはよかった。
まだ初期段階でしたね。
ウィルス保菌者の生者を特定するのは難しくないでしょう。
さっそく記録に当たりましょう。」
司書はテーブルの上に並べられた写真から目を上げて言った。
「それはすでに手配済みです。
しかし
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